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大久野島毒ガス障害死没者慰霊碑に献花し一礼する参列者=広島県竹原市の大久野島で2022年10月21日午前10時48分、岩本一希撮影 拡大
大久野島毒ガス障害死没者慰霊碑に献花し一礼する参列者=広島県竹原市の大久野島で2022年10月21日午前10時48分、岩本一希撮影

 広島県竹原市の大久野島で21日、戦時中の毒ガス製造に従事したことなどで健康被害に遭い、亡くなった人たちを追悼する「36回大久野島毒ガス障害死没者慰霊式」があった。当時の工員の遺族など約100人が参列し、化学兵器のない世界の実現を願った。

 被害者団体や周辺の市町でつくる「大久野島毒ガス障害者対策連絡協議会」が主催した。式で、協議会の会長を務める今栄敏彦・竹原市長が死没者名簿を奉納。ロシアのウクライナ侵攻について触れた上で「このような状況だからこそ、毒ガス製造の実相を後世に伝えることが私たちに課せられた責務。戦争や化学兵器のない恒久平和実現のために全力を尽くす」とあいさつした。

献花する大久野島毒ガス障害者対策団体協議会の伊勢本学さん=広島県竹原市の大久野島で2022年10月21日午前10時37分、岩本一希撮影 拡大
献花する大久野島毒ガス障害者対策団体協議会の伊勢本学さん=広島県竹原市の大久野島で2022年10月21日午前10時37分、岩本一希撮影

 大久野島に毒ガスの製造工場設置が決まったのは1927(昭和2)年。島は陸軍の管理下に置かれ、全住民が強制退去になった。29年に毒ガス製造工場が完成して製造が始まり、軍は機密のため島を地図から消した。工場では皮膚や気道をただれさせる効果を持つルイサイトガスやイリペットガスなど複数種類の毒ガスなどを製造していた。工場では終戦までの間、工員や徴用された学生など計約6000人が製造に従事したとされている。

 製造当時から防護服はあったものの、服のすき間からガスが入り込んだことなどにより、従事した人々は現在も気管支炎や呼吸困難などの後遺症に苦しめられている。毒ガス障害者の援護を担当している広島県被爆者支援課によると、毒ガス障害者の健康管理手帳を持つ人は昨年から166人減少し、全国で838人(3日現在)で、平均年齢は93・2歳。最も手帳所持者が多かった1987年の6分の1程度となり、高齢化が進んでいる。

 式に参列した江田島市の小松明夫さん(69)は父、末太郞さんが毒ガス製造に従事、亡くなるまで呼吸器系の後遺症に悩まされた。周囲からは「行かなくてもいいのでは」と言われることもあるというが「おやじのように毒ガス(の障害)で亡くなった人たちを弔うために参列する。元気なうちは参列したい」と語る。父を亡くした大崎上島町の奥垣内美和さん(60)は10年ぶりに参列したといい「今回が最後の参列。化学兵器は怖い存在、絶対に使用してはいけない」と話していた。【岩本一希】

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